高天原異聞 ~女神の言伝~
その時。
手前の家の門扉が開き、誰かが出てきた。
ぶつかると思った美咲は、思わず速度をゆるめたが、間に合わなかった。
「きゃあ!!」
美咲はぶつかった衝撃で、その誰かに咄嗟にしがみついた。
ぶつかられた相手は、見越していたのか、美咲を抱きとめた。
「ちょっと、大丈夫?」
女の声に、美咲は驚いて顔を上げた。
「あら、あなた――」
門灯の明かりの下で驚いて自分を見下ろしているのは、今日のお昼に本を借りに来た坂崎綾だった。
「おや、藤堂さん」
綾の後ろにはなんと、図書館の常連の斉藤がいた。
なぜ二人とこんなところで遭遇したのかはわからないが、美咲にはそれよりも見知った顔を見て心底安堵した。