高天原異聞 ~女神の言伝~
心地よい空間を感じながら、美咲は重ねた本を絶妙のバランスで運び、その図書館の名物である、天井まで届く大きな柱の前に来た。
それは、大人二人が手をつないだほどもある珍しく太い柱だった。
角柱でもなく、ただの丸太でもない、出節の多い変木丸太で、滑らかな木肌の美しい柱だった。
木の材質までは知らないが、相当古いものだということはわかる。
図書館の中央にあるその柱を避け、美咲はその先に向かおうとし、
「!?」
誰かにぶつかった。
勢いで、持っていた本が横から滑り、続いて、館内の静けさを無作法に乱すいくつもの落下音。