スリーポイント
聞き慣れた声に顔を上げると、どこか困ったような表情の彼がいて。
…えと、こういう場合…あたしは何をしたらいいの…?
なんて思っていると、彼が鞄の中からタオルを差し出してきた。
「ま、とりあえずコレで顔拭けよ。貸してやっから」
「え…あ、りがと」
出されたタオルを素直に受け取ると、彼は困ったような顔をして周囲を二、三回見回すと私の隣にゆっくりと腰掛けた。
ゆっくりと頬や目に溜まっていた涙を拭いていく。
タオルはふわふわしてて、太陽の香りがして……。
まるで、彼みたいだなと思った。
「………これ、飲むか?」
「え…?」
不安そうに差し出されたのは、ペットボトルのスポーツドリンクだった。