スリーポイント





目指したのは、あの寂れた公園。

公園の中に見つけた古いベンチに座ると、なんだか少し落ち着いた。


だけど、まだ溢れ出てくる涙は止まらなくて。

目が腫れるとわかっていても、目を擦る手は止められなかった。



(……あ…)


ぼやけた視界で、また見つけた。

……バスケットボール。

あの人、忘れ物多いなあ。



私は触りに行く気にもなれなくて、ずっと下を向いていた。


すると…。



「──あんまり目ぇ擦ってると腫れるぞ?」

「っ!?」



いつも窓から聞こえていた声が、ふいに聞こえた。






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