嵐の日から(短編)
彼女は沢山の小物を持っていました。
それは彼女の世界を満たし、より一層この狭い場所から抜け出せない理由を作っているものたちです。
棚には少しでもこの空間を華やかにするための小物がどっさりと並べられていました。
―――ビロードの枠がついた写真、貝細工の船、その隣で微笑みを浮かべた人形、色彩が美しい小さな花瓶に陶器の貴婦人など―――
殆どは家族や知り合いからもらったものでした。
ところがお気に入りのものたちでさえ今のベラトリスには意味をなくしていました。
やはり大きすぎる不安が頭をよぎってしまうからです。
棚の上の住人達も持ち主と同じように途方に暮れているのでした。