LAST EDEN‐楽園のこども‐
「いいか雨宮。俺はな、お前のような生徒でも、何とかしてやろうと思ってたんだ。お前みたいに腐った奴でも、どうにか救い上げて助けてやろうと頑張ってたんだぞ」


それが、お前ときたら……。


オーバーアクションが好みらしい。


再びわざとらしく息を吐いて、教師としても人間としても最低であることを今更ながらに証明すると、担任はそれから掌をヒラヒラと振って、あっちへ行けと言わんばかりに顔を背けた。


「もういい、お前のようなクズにはもう何を言っても無駄だということが、俺は身にしみてわかった。もう何も言わん、勝手にしろ」


涼めがけて放たれた言葉の刃は、当然周囲の人間の耳にも届いていた。


そこまで言わなくても、という思いは、それぞれの胸に湧き上がっていただろう。


それでも同僚たちは、余波を警戒して素知らぬ顔で談笑を続けている。


その様子を少し離れたところで眺めていた佐伯は、やるせない溜息を一つ落とした。


偶然その場に居合わせた彼は、校外試合の公休願いを提出しに来ていた。
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