清水君の嫌いなヒト
「…人が頑張ってる横でゲームしないでくださいな」
『自業自得、僕8割終わってるし』
寝転がってピコピコと小型ゲーム機をもてあそぶ姿は
まるで小学生のようだ
『手伝ってあげようか?
…名前書くのだけ』
…訂正
こんな生意気で頭がまわる小学生がいてたまるか
「手伝うのはこちらの面積の問題にして欲しいのですが…」
『公式あったでしょ、それ使え』
「…そこに行くまでの手順が」
『調べろよ、教える僕に何のメリットも無い』
じゃあ何で連れて来たんですか、とは
流石に言えない
連れて来られたのも唐突だった
『明日2時にうち来て』
「はっ!?」
『勉強道具持参ね、あのオレンジ色のスーパー知ってるでしょ?
そこまで来たら電話して。迎え行くから』
「はぁ…」
てな感じで
あれよあれよという間にこの状態
私は視線を上げて清水くんの部屋を見渡す
清水君はどう思ってくれているか知らないが
私にとっては“好きな人の部屋”なのだ
どうしたらいいか分かるほど経験も無ければ予備知識も無い
逆にどうやったら手に入るんですか!?
私はひとり顔を赤くさせて課題に視線を戻した