Sugarless -君だけがいた時間-
愛憎の末に殺意を芽生えさせる人の気持ちが、私にはよく分からない。
愛する人を傷つけることで、相手を自分のものにできるだなんて、本当に思うのだろうか。
私なら、愛する人には傷つけられたい。
傷つけられて、汚されて、私に消えない跡がついたとき、やっと彼が私を見てくれるような気がする。
そしてそれ以外に、彼を手に入れる方法はないような気がした。
「……あはっ……」
乾いた笑いが漏れた。
やだなあ、私。いつからこんな、ディープな女になっちゃったんだろう。
ねえ、楓?
何をしているの?
早く私を、塗りつぶしてよ。