Sugarless -君だけがいた時間-
私は何も言えず、代わりに苦笑して沈黙を埋めた。
そうだね、楓。あなたはいつだってそうだった。
そこにある物を、あるがまま見る。ただリアルだけを見つめている。
なのにそんな楓自身は、自ら創りあげた世界の中で生きているようで、手が届かない。
楓の大学の仲間たちが、顔をニヤつかせながら近寄ってきた。
「楓ー。お前、朝子ちゃんという彼女がいながら、なんで女の子呼んでんだよ」
「彼女には内緒にしといてやるから、紹介しろよな」
バーカ、と楓は友達の頭をはたく。
「こいつは高校時代からの親友。朝子も知ってるよ」