キミのとなり。
『俺は、お前と出会って運命ってやつが本当にあると思えた。


お前に出会って無感覚だった俺の中に、こんなにたくさんの感情を見つけた。


たぶん、何度生まれ変わっても俺はお前に出会い恋をするんだと思う。』



……仁。



『千秋。』



「はっ…はいっ!」




『俺と結婚して下さい。』


 ………


 ………


 ………



えっ…えぇ…



驚いて声もでなかった。



一瞬意識が遠退いて、気絶するかと思った。



仁の声は、夜空に突き抜ける程透き通っていて何度も何度も私の中でリフレインされた。



それは、夢にまで見た…



仁からのプロポーズ―……


でも夢じゃないっ―



夢じゃないんだっ―…



ジワジワとうれしいという感覚が沸き起こって来て、身震いする程だった。


やがて視界が涙で遮られ、目の前に差し出された箱の中でキラキラ光るダイヤの指輪が2重にも3重にもぼやけて見えた。



会場は静まり返り、仁と共に私の答えをまっている。


しばらく流れる長い長い沈黙……



「せっ先輩っ!?」



「千秋っ!?」



最前列から息を飲んで見守っていた若菜ちゃんと晶子が、硬直しきった私にコソッと声をかけた。



ハッ…!



その声で我に帰る。



目の前で私に指輪を差し出しながら、答えを待っている仁。



私ってば、なっなに黙り込んでるんだ!!


答えなんて考える必要もないのに…




< 534 / 554 >

この作品をシェア

pagetop