キミのとなり。
“スゥーハーッ”



気を落ち着かせる為に、大きく深呼吸を1度…



そしてゆっくり口を開いた。



『こっこちらこそっ…お願い……します。』



“シーン…”



会場がその状況を把握するまで数秒―…




“……キャーーッ!!!”



“オメデト~~!!!”



耳の鼓膜が破れそうなくらい大きな歓声が巻き起こった。



みんなが総立ちで仁と私を祝福してくれている。



その光景を目の当たりにしても、まだ放心状態の私……



すると次の瞬間―、



わぁっ…



ふわっと体が仁に吸い寄せられるのがわかった。



「……。」



仁の胸にすっぽり収まった私。



「…もったいぶってんじゃねーよ。」



仁の少しホッとした声が、私の耳元で聞こえる。



「……へっへへ、ごめん。」



♪~♪~…



すると、まるで用意されていたかのようなタイミングでいい雰囲気の曲が流れ出す。



私達の為にバンドのメンバーはこんな演出までしてくれる。



後方のケンチャンが満面の笑みでドラムを叩き始め、ウィンクひとつ。



仁は私の体を離すと、にっこり微笑みながら手を取った。



そして、箱から出したダイヤの指輪を私の左手の薬指にはめてくれた。



ガクガクと体全体が感動で震えている。



左手薬指でキラキラ輝くダイヤの指輪……



ずっしりと重たくて、たくさんの仁の想いが詰まっているみたいだった。



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