キミのとなり。
鏡の前で、もう一度髪を綺麗に手直ししてもらう。



「素敵な新郎様ですね~テレビで見るまんま!」



頭をセットしながら係りの人がそう言った。



「えっ……そっそんな事ないですよ~?不器用だし、口悪いしっ。」



「フフッ羨ましいです。きっと世の女性みんなそう思っているはずですよ!」



「……いっいえ。」



恥ずかしくて下を向いた。


でも、すっごく嬉しい言葉だった。



時刻は挙式の始まる午後12時をまわった。



「それではチャペルへ移動致します。」



真っ白なケープで顔を隠し、ゆっくりチャペルへ続く道を歩いた。



高いヒールにも慣れ始め、確かな足取りで廊下を歩く。



「もう、皆様中でお待ちですので。」



「……はい。」



ホテルから少し離れた場所にチャペルはあった。



一歩一歩近づくに連れて、そこに誰か立っているのが見えた。


あっ・・・


 
徐々にそれが、父だという事がわかった。


「お父さん…」


係りの人が私に添えた手を離し、父の方へ導く。



私は神妙な面持ちで立っている父とゆっくり腕を組んだ。



「……。」



父は何も言わずただ黙っている。



一人暮しに反対だった父…


なかなか実家にも帰らず、知らぬ間に芸能人と付き合いだし、ついには結婚……


仁を連れてあいさつに行った時の、父の俯いた寂しそうな顔が今も頭から離れない。


計り知れない程の心配をかけただろうな……。



「お父さん……ごめんね。」


もっともっと言わなければいけない言葉があったのに、その一言しか言えなかった。


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