赤い狼と黒い兎


メンバーはみんな各々の色のコートにもう着替えていた。

…あとはあたしだけか。



『…アレ、お前らのチームの連中じゃねぇの?』

「え?」



窓の外を見れば、朱雀チームであろう人間がグラウンドに出ていた。

…うちのチームもいるな。

つーか、抜けたのにコート着ていいもんかね…。

複雑な気持ちを抱えながら、グラウンドに向かった。

……ついでに、朱雀も。



「何だてめぇら」

「お前ら下っぱに興味はねぇ。黒狼を出しな」



ざわざわとざわめくグラウンド。

あたしらが来ると、一気に目の前に道ができた。



「リーダー!」

「皆さん…」



moonのメンバーが心配そうな表情を浮かべていた。

…大丈夫、安心しな?

そういう意味を込めて目配りをした。



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