赤い狼と黒い兎
「ハハッ!黒狼って言っても所詮は女か」
『!』
“女”という単語に目を見開いた。
…あたしを女だと知ってるのはチームと傘下、同盟くらいだ。
『……女だと?』
ここで「何故知ってる」と問えば、確実にそれを肯定している。
敢えてそう言えば勝手に理由を吐くだろう。
「お前が女だと、嶽さんから聞いた」
…ほらな。
やっぱり、嶽の奴か…。どれだけあたしを陥れたいんだか。
『へぇ、そうか』
「お前を嶽さんのところに持って行けば…」
『それは、どうかな』
ふっと嘲笑うようにして笑った。
「何だと…?」
『残すのは、お前で決まりだな……』
ニヤリと口の端を吊り上げ、笑った。
墓穴ばかり自分で掘って、バカな野郎だ…。