水に映る月
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薄暗く深い霧の中を、あたしは一人で歩いていた。
舗装されていない砂利道の左手に、古びた民家のような建物が並んでいる。
だけど、霧でボヤけてハッキリとは分からない。
右手には、背の高い雑草がボーボーと生い茂っていた。
─ ここ、どこだっけ?
ケイちゃんは‥?
不安で、怖くて‥。
泣きそうになりながら、慧を探して歩いた。
不意に、茂みがカサカサ揺れた。
振り向くと、茶色く大きな野良犬が、ゆっくりと姿を現した。
あたしの腰辺りまである、その犬は、歯を剥き出して「ウ~」と唸り近付いて来た。
─ 怖い!
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あたしは、飛び起きた。