水に映る月
 

大阪に戻っても、何も変わらなかった。

ママは、また水商売を始めた。


唯一、救われたのは、夜になると祖母の家に預けられたこと。


あたしがママと過ごすのは、幼稚園から帰ってママが仕事に行くまでの数時間。


だけど、甘えたり抱っこして貰ったり‥、そんな幼児期に必要な愛情なんて無かった。


おばあちゃんは優しかったし、大好きだったけど‥。


母親の愛情を感じられないあたしは、いつも、どこか満たされないキモチになっていた。


 
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