水に映る月
 

ベッドの中で、慧は、いつになく饒舌だった。

枕の境界線を挟んで、色んな話を聞かせてくれた。


幼稚園の頃、小学生の頃、それから中学時代‥。


「中学入って、すぐグレたな。ヒトシと毎日ツルんでた。中2ん時の担任が熱血でな。オレが朝、寝てたら、クラスの何人か引き連れて迎えに来るねん。」


「それで?」


「“結城くーん、学校行こー”って、玄関の前で叫ばれる。登校拒否の小学生みたいやん?カッコ悪いやろ。」


「うん。」


「その内、夕陽に向かって走らされるんちゃうかって思いながら、仕方なし、制服に着替えて行ったな。」


その頃の様子を思い出したみたい。

慧は、クスクス笑った。


 
< 194 / 370 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop