水に映る月
 

あたしは、彼を見ることが出来なかった。

俯いたまま、小さく頷いた。



「何回も自首を考えた。けど、怖いんや‥。」


彼の震えた声が哀しい。


「何人ものオンナに地獄見せて来たくせにな‥。自分が、この世界から切り離されることが怖い‥。サイテーやろ、オレって‥。」



─ 分からないよ‥



「だから、純ちゃん。もう、オレのこと忘れてや‥。頼むわ‥。」



─ イヤだ‥



「純ちゃんに出会って、純ちゃんをすきになって‥、死ぬほど後悔した。今までの自分がやって来たこと、死ぬほど後悔した‥。けど、遅すぎたな‥。オレは純ちゃんを守ることが出来へん‥。哀しませることしか‥。」


握りしめた慧の拳が微かに震えていた。


 
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