遠吠えクラブ
 ガレージルームの電気をつけた時に聡が見たのは、倒れている美夏と、その細い首筋に噛みつこうとしているレオの、見たこともない凶暴な目だった。

 聡は衝動的に傍にあった折りたたみ椅子をつかみ、レオの頭を殴った。

 ぐったりしたレオを脇にどけると、美夏を抱き上げてリビングに運び、ソファに横たえた。

 美夏は、自分の名を呼ぶ聡の声を顔のすぐ近くに感じて、思わず微笑んだ。

 もうひとつの声は千紘だ。救急車を呼んでいるようだ。

 聡は泣きながら、許しを請う言葉を何か、何度も繰り返していた。
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