遠吠えクラブ
 その聡の足元に、いつのまにかレオがよろよろと近づいていた。顔面からは鮮血が滴っていた。

 そうして聡を見上げると、いつもそうするように、リードを口にくわえて聡の足元に座り込み、無邪気に尻尾を振って聡を見上げた。

 散歩に連れていって欲しいという、いつもの催促だった。
 まるで、聡が自分を殴ったことなどなかったかのように。
 そんな残酷な仕打ちを、自分は信じないというように。

 いつもの、捨てられていた子犬の頃からずっと聡が愛し続けたレオに戻っていた。
 聡は、子供のようにしゃくりあげて泣いた。
 聡は一瞬、美夏の手を握った片方の手を離し、レオの頭上に伸ばした。
 その手が、レオのなめらかな頭に触れた瞬間、レオの頭が静かに下に垂れ、聡の指先から離れた。
 そのままレオは、動かない物体になった。

今度こそ、伝えなければ。
僕だけが、永遠の真実の愛で結ばれた
唯一無二のパートナーであることを。
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