ETERNAL CHILDREN ~永遠の子供達~

「――」
 感心したように、フジオミは穏やかに微笑んだ。
 本当に、この少女はきわどいことばかり問い正してくる。
 まるでこちらの弱みを見透かすかのように。
 そして自分は弱みを見せないように、さらなる嘘を繰り返すのだ。
「そんなことは一度もないよ。それが、僕等の使命だから。人間として生まれた限り、血を繋ぐことは義務だ。僕等は数少ない人間だ。最後の瞬間まで、人が生きてきた足跡を作らなければならない。それが、確かに僕等が存在していた証となるように。
 自分だけが幸せであればいいなんて、それは間違っている。個人の幸せの前に、僕等はこの生の意味を、考えなければならない。そして、君と僕は次に血を残せる人間だ。生まれながらに責任がある。義務がある。それをなくしては何も考えられない」
 シイナがことあるごとに言って聞かせた言葉を、そっくりそのままマナに繰り返す自分を、フジオミは滑稽な気分で認識した。

(偉そうに、何を言っているんだろう。そんなこと、微塵も考えていないくせに)

 だが、永い営みの中で、一体誰が考えただろう。
 人間が、こんなにも穏やかな滅びを迎えるなど。
 フジオミ自身でさえ、今この現状にあっても、信じられないことだった。

 もうすぐ、この地球上から、人間が一人もいなくなるなどとは。


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