ETERNAL CHILDREN ~永遠の子供達~

 前とは違う、ほんの一瞬の、ただ求めるだけのくちづけ。
「なんでだ……」
 強くマナを抱きしめて、ユウは呟いた。
「あんたが好きだ。誰にも渡したくない。でも、わからないんだ。これがどんな気持ちなのか。あんたを母親として愛してるのか、違う女として愛してるのかわからない。ただ、あんたが好きだ。それしかないんだ」
 彼の身体は、震えていた。

「好きだ――好きなんだ、マナ。こんなに好きなのに、どうして駄目なんだ……っ!!」

 激しい感情が伝わる。
 ぎりぎりの理性を、危うい激情を、相反しながら内に保つことに、ユウもまた疲れていた。
 愛しているのに、こんなにも求めているのに、許されない想いに。
 マナは、そんなユウが愛しかった。
 だから、腕をのばして彼を強く抱きしめた。
 ユウの身体が強ばったのがわかった。

「ユウ。あたしも好き。あなたが一番好き。この気持ちは、なかったことになんてできない。あなたを愛してる」

「マナ――」
「あたし、もうドームへは帰らない。あなたと生きるの」
 ぎこちなく、ユウは抱きしめていたマナの身体を離した。
 狼狽えた瞳が、見返す真摯な眼差しのマナを見下ろしていた。
「マナ。俺はあんたに未来をやれない。残るものを、与えてやれない。それでも、俺を選べるのか」
「選ぶのではないの。そんな感情じゃ、ないの。あなたを好きなの。一緒にいたいの。未来の何も、関係ないの」
 一途な想いで、マナはユウを見つめた。
 それを感じとったユウは、恐れるように震える手でマナの頬に触れた。


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