ETERNAL CHILDREN ~永遠の子供達~

 マナはこの一週間、学ぶべきことを全て完璧に学んだ。
 マニュアルを全て読みこなし、ここから北へと向かう走行可能な場所、タイヤの交換の仕方、エンジンの故障への対応、バッテリーの点検など、考えられる非常事態にできうるあらゆる対処法を教わった。
「これで、私が教えられることはもう何もありません」
「ありがとう。あなたは立派な先生だったわ。ごめんなさい。無理を言って。それに、一番最初にひどいことも言ったわ。本当にごめんなさい」
 マナを教えた男は、訝しげな表情でマナを見ていた。
「何故、私などに謝るのですか? クローンに謝罪はいりません」
 その言葉に、今度はマナが訝しげに顔を上げた。
「あたしはあなたに悪いことをしたわ。悪いことをしたら謝るのは当たり前でしょう?
クローンも人間も、関係ないわ」
「あなたは、博士が恐ろしくないのですか。私達にはとてもできないことです。彼女の意志に逆らうなど」
 問うてから、差し出がましい振る舞いをしたかというように狼狽えた男に、マナは何でもないというように微笑った。
「ねえ。あたしを見て。どう思う? 人間に見える? それとも、クローンに見える?」
「――」
 いきなりの問いに、なんと答えるべきか、男は迷っていた。


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