ETERNAL CHILDREN ~永遠の子供達~
「議会は召集されることに?」
前方からかかる声。
視線を向けると、フジオミが自室扉のすぐ脇の壁に背を預けて立っていた。
「あなたはまた出席しないつもりなの」
「僕には、あえて発言すべきことはないよ。例え時間がかかろうとも、君の望みは通るだろう。そのためだけの議会だ。僕が出る必要はない」
言いように、シイナは苛立った。自分の行動を揶揄しているようにも聞こえる口調を、彼女は昔から大嫌いだった。
この世界で一番嫌いな男。
なぜこんな男がいるのだろう。
自分がどれだけの義務を背負っているのか、真に理解してもいない。
ただ己れの快楽のためのみに生きている。
一番腹立たしいのは、そんな男でも、この世界で一番必要だという事実だ。
唇を強く噛んで動かないシイナを、フジオミは訝しげに見つめた。
「疲れているようだね。そんなに気を張りつめていると君のほうがまいってしまうよ」
「あなたは何とも思わないの!? さらわれたのは、あなたの〈伴侶〉なのよ!!」
見当外れな配慮に、シイナは堪え切れずに叫んだ。
しかし、思いもかけないシイナの怒りに、フジオミは一瞬戸惑いはしたものの、すぐに納得したように肩を竦める。
「愛しいと思うほどには、まだ愛していないからね」
そんな飄々とした彼の態度が、シイナにはますます腹立たしかった。
「あなたといると苛々する」
言い捨て、その場を去ろうとするシイナを、フジオミは興味深げに眺めていた。まるで玩具の動きを楽しむかの如く。