ETERNAL CHILDREN ~永遠の子供達~

「マナ、ユウを頼むよ」
「?」
「あの子は、きっとおまえさんのためなら何でもしてくれる。どんな願いも、叶えようとするだろう。
 私から言うのも何だが、おまえさんを、この世界の何よりも大事に思っている。それを、忘れないでおくれ」
 その言葉に、何故かマナは不安なものを感じとった。
「どうしたの、おじいちゃん? 急にそんなこと言いだして。何だかもう会えない、何処か遠くへ行くみたいに」
「おや、そんなふうに聞こえたかね?」
「ええ。嫌だわ、おじいちゃん。そんなこと冗談でも言わないで。あたしたちをおいて、何処へも行かないでね」
「どうやら、マナにいらぬ心配をさせてしまったようだ。さあ、中へ入ろう。もう日があんなに高い」
 老人は杖を持ちなおし、開いているほうの手でマナの肩に触れた。
 その足取りが、何だかいつもより重そうに見えた。

「ああ。きっともうすぐ……」

 一歩一歩、ゆっくりと前に進みながら、遠くを見つめて、老人は呟いた。
 それが一体何を意味するのか、マナはまだ知らなかった。


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