誘拐犯は…神様だったのです!
「………」
海鈴さん…不覚にも今の…ドキッとしちゃった
紫音さんと同じ、いや、それ以上に優しい触りかた
好きとは違うドキドキに、その音が聞こえないか、不安になっていると
海鈴さんは、また手すりの方を振り向き肘を付きながら月を眺める
「ねぇ、凜?」
「あ、はい…なんですか?」
「僕はさ、何回も聞いて来たけれど、本当に…いいのかい?人間界に一度戻れば、二度と来ることは出来ないよ」
「…………」
「もう一回、最後に君の気持ちを聞かせてくれないか?」
「………」
もう一回か…海鈴さん、何回も聞くんだから
それだけ、私を気にしてくれてるんだろうけど
「海鈴さん?」
「ん?」
「私の目を見てください。迷いがあるようにみえますか?」
お互い、ジィーとにらめっこするように見つめあうと海鈴さんは、フッと鼻で笑う
「ないみたいだ。凜の瞳には、迷いがない、綺麗だよ」
「き、綺麗なんかじゃ…ないですよ…でも、本当に迷いはありません」
「そう…」
「はい」
「分かった」
「あ、でも…あえて言うなら…渡してって言ったネックレスですね」
「あぁ、あのネックレスか」
「はい、渡したことに後悔はないですけど…おばあちゃんの形見だったんで…どうせなら、人間界に戻るギリギリに渡せば良かったかなって…」
「……」
「あ…な、なんて…冗談ですけど」
「凜」
「………?」
不意に私の手をにぎり、海鈴さんは服をなにやら探り、それを取り出すと私の手に握らせる
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