僕は君を抱きしめることができない
はずだったのだが……






「あ、あれ?」






気がつくと、誰かに抱き抱えられていた。






この状態は……






まさかの―――お姫様だっこ!?






「あ、あのっ!すいません…下ろしてください!」






「………ちょっと黙ってろ。」






「ご、ごめんなさい」






カァァァと体の体温が上がっていくのを感じる。






赤面してるんだろうなと、思って気づかれないように下を向く






「……さっきは悪かったな。ぶつかって」






「へ?」






顔をあげてみればその人は階段下で出会った男子生徒だった。






「さっきの……!」






でもどうして?






ボクが疑問に思っていると、男子生徒は理解したのかため息まじりに言った。






「さっき、右足首…捻挫したみたいだったから」






…気づいてたんだ。






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