僕は君を抱きしめることができない
「は、はいっ!」


その生徒の顔を見た。


チョコレート色の肌に碧い瞳


その肌に映える輝く銀髪


そしてとても美しい顔だった。


すっごく、綺麗――――


「……気をつけろ」


「ご、ごめんなさい」


それだけいうとその人は行ってしまった。


なんていうか、今日はすごく


美人な人に会うなぁ……


双子の先輩と、


先生、


隼、


それからさっきの人!


こんなに美人の人に会える日なんて


珍しいよね。


今日はボクにとって人生で


一番ついている日かもしれない


なんて、言ってみたり。


あんまり彼らとは仲良くなれないんだろうな……


ふぅっとため息をついて


階段を上がろうとするために


立ち上がろうとしたその瞬間……


「いたっ……!」


右足首が痛む。


まさかと思って右足首をさわる


ズキッ……!!


これはまさか、捻挫?


「―――やってしまった」


初日早々、なにやってんだ、ボク!


――迷惑はかけられない。


こうなったら無理にでも立ち上がって…!


「うっ!」


鈍い痛みが右足首に走る


階段あるけど我慢すれば大丈夫!


「っ…!」


痛みをこらえながら少しずつ


上っていく。


一歩一歩慎重に……


最後の段にさしかかったその時


痛みでめがくらみ、


足が滑ってしまった!


手を伸ばすがその手は虚しくボクは


地面へと落下していった




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