La'cryma
宝飾が施された甲冑


1mはあるであろう花瓶


フカフカの絨毯


どれもが今まで家で見てきたものとは違った


オルビス「いかが致しました?」

ユーリ「あ、いや…なんか、今まで私が見てきたものってなんだったのかなって…」


オルビス「ん?」


ユーリ「お父様もお母様も…周りの方もみんな、自分たちのものが一番だって…他よりも優れてるって…いっつも言ってたから…でも、比べらものにならない物がここには沢山あるんです…。」


オルビス「ふむ…。人は見える範囲でしか物事を考えることができぬものですからな。それが幸せか不幸かはわかりかねませぬがな…。ユーリ殿は王のことはどれくらいご存じですか?」

ユーリ「王様ですか?よくわからないです…名前ぐらいしか…」


オルビス「そうであろうな。この国はそういう国だ。いくら親衛隊がおるからと言っても、安全とは言いきれん。だが、しかし、罪を犯すものと犯さぬものを判断することなど誰にもできん。それゆえに、この国の王が民と顔を合わすことができるのは、城の中と限られてしまう。どうか、王に王だからといって壁を作らないであげてほしい。「光の巫女」とは、この国で唯一、王と同等の立場の存在であるのだからな。」


ユーリ「なんか…王様って寂しいんですね…。一番偉いんだからもっと幸せなのかなって思ってた…。」


オルビス「その寂しさもわからぬのかも知れん。それが当然で育ってきているからのう。さぁ、着きましたぞ…準備はよろしいか?」


ユーリ「はいっ!」


オルビス「アフェットガルド親衛隊副長!!オルビス・ゲイリー!入ります!」


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