桐谷くんの心をハイジャックしてきます。
つまりは悪いのはあたしか、と聞かれると違う気がするのはあたしだけだろうか?
「り、律希さん…?」
『ん?』
こういうときだけ、甘い声で優しく言うの反則でしょ…!
体全体でフェロモンを放つ男は、スッと顔を近づけてくる。
「(…わ、)」
綺麗過ぎるその顔を、惜しげもなく近づけてくるもんだから。
あたしの鼓動は早鐘のように鳴る。
『どうしてほしい』
息さえも掛かるこの至近距離で、意地悪そうに聞く律希。
キスされる、そう思っていたあたしは僅か1センチ先で止まったその顔が、何だか恨めしくさえ思えた。
「(…て、何考えてんの)」
一人赤面するあたしを見て、ククッと喉の奥で笑う律希。
あたしの考えてる事が分かるのか、フッと息を吹きかけて、悪戯に視線をあたしの唇に落とす。
それだけで、更に赤くなる顔は正直すぎた。
『キス、したいのか』
ニヤリ、と。
あたしの考えなんてお見通し、とでも言いたげなその顔。
「……律希はしたくないの?」
あたしばかり。
こんな気持ちでいるのはあたしだけなのか、と。
『っ!!』
そう言えば、驚いたように律希の目が開かれた。
でも。
直ぐにまた悪戯な笑みを浮かべ、