久遠の花〜 the story of blood~
/0
/0


 小さい頃、不思議な夢を見た。

 夢の中の私は大人で、最初はとても楽しい日々。次の日も私は大人で、昨日の続きを見ている。


 ――でも。

 そんな楽しい夢は、三日で終わってしまう。

 四日目からは、とても悲しい夢。みんなが私を責め立て、追い出そうとする。よく見れば、私を責め立てているのは女性ばかり。そして口々に、「お前がいるから呪われる」「旦那が死んだのはお前のせいよ!」と、罵声を浴びせられる夢が三日続き、七日目には、真っ白な世界にいる夢で終わり。

 この頃は意味なんてわからなくて、ただ、みんなの顔が怖かった。昨日まで優しかった人が、すごい形相で私を睨みつけているのだから。





【夢は、経験したことしか反映しない】 





 悪夢をよく見ると言う私に、ある先生が教えてくれた。


『自分の願望も反映されるけど、基本的には、自分が体験したり、聞いたりしことを夢で見るんだよ。きっと、その悪夢は病気からくるストレスだろうね。楽しいことを考えれば大丈夫。悪夢はすぐに終わるよ』


 そう言って、先生は慰めてくれた。





 ――――だけど。





 先生の言葉は、嘘だと思った。

 だって、自分が経験したことしか夢にならないなら、今見ている夢はおかしい。
< 298 / 526 >

この作品をシェア

pagetop