久遠の花〜 the story of blood~





『これで……いい、の』





 虫の息で、私が言う。


『だいっ、じょ……。また……あえ、るっ』


 徐々に、体から熱が消えていく。

 誰かが必死に呼びかけ、手を握りしめてくれるのに……夢の中の私は、もうそれができない。





 七日目の夢。

 その夢はいつからか、私が【死ぬ夢】となって繰り返された。





 成長するにつれ、悪夢の回数は減ったものの、七日目の【死】は相変わらず。

 そんな私に、おばあちゃんはおまじないをしてくれた。

〝前は否。前は否――〟

 頭を撫でながら、おばあちゃんは続ける。

〝夢は夢。事世に前は否なり。――ほら、美咲も言ってごらん〟

 おばあちゃんにならい、私も同じ言葉を口にする。

 そう言った後、いつも飴をくれた。透明で、花びらのような物が入った、宝石のような飴。それを食べると、気分がとてもよくなったのを覚えている。





〝願う時は、気を付けなさい〟





 嫌なことがあると、おばあちゃんからよく、そんなことを言われた。

〝美咲には、叶えられない願いはないの。でもね、それは大事なモノを失うから出来ることなのよ〟

 意味がわからず首を傾げれば、大きくなればわかるからと、お馴染みの言葉を言われた。


 ――大人かぁ。

 その時になったら、おばあちゃんが言ったこと、ちゃんと理解できるのかなぁ?
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