久遠の花〜 the story of blood~
「とりあえず、これでよいだろう。――運ばせてすまなかったな」
「いいですけど、どーしてオレに運ばせたんですか?」
「お前がスウェーテの者だからだ」
「……アンタも、オレのこと知ってるの?」
「お前と言うよりは、スウェーテが持つ力についてだな」
「力、ねぇ……」
雅は以前、桐谷から一族のことを聞いていた。自分の一族は、いわゆる魔術のようなことが出来る存在。その力を使い、命華と似た力を得たのだと。
しかし、魔術は万能ではない。いくら似たような力を使えるとはいえ、所詮は紛い物。それに、操るには才能も必要となる。今までそれを知らなかった自分に、そんな力があるのかと半信半疑だった。
「――――」
「力のことは、後で教えよう」
立ち上がり、部屋をあとにしようとする蓮華。それに続かない雅を見て、行くぞ、と声をかける。ようやく反応を示した雅は、蓮華が何を知っているのかと、興味の眼差しを向けていた。
「――では、始めるとするか」
部屋に戻るなり、蓮華は早速話を切り出す。まず進められたのは、青年の素姓についてだった。
「話せる範囲でよい。答えてくれぬか?」
予想外の言葉だったのか、青年は少し、反応に困っているようだった。
「話せぬなら、別に構わぬぞ」
「――いや、話しましょう」
皆の視線が、青年に集中する。
そしてゆっくり、青年は自分のことを語り始めた。