久遠の花〜 the story of blood~
/1
/1
「これに――記憶はない」
体を起こし、【これ】に指を向ける。すると、目の前の女性は悲しげに、【これ】を見つめた。
「間に、合わなかった……? もう、貴方の中にいないの!?」
両肩を掴み、大粒の涙を流しながら女性は言う。
「どうっ、したら……。これじゃあまた、美咲ちゃんだけっ!」
「――――すみません」
それしか、言葉が思いつかなかった。
よく知らないけど、彼女はおそらく、【これ】のことを思って泣いていると思うから。
「私のこと――全くわからない?」
じっくり顔を見ても、彼女の記憶はない。首を横に振れば、彼女はまた、涙を流してしまった。
「――――こうなってしまったら、しょうがないわ。今、貴方が持ってる意思を聞かせてちょうだい」
――――意思?
それは、望みや願いのことを言っているのだろうか?
聞けば、彼女はそうだと言って頷く。
――【これ】の、意思。
考えを巡らせると、そこにあるのは、
「みんなを――護ること」
その一点。
強く。その言葉が刻まれていた。
「これに――記憶はない」
体を起こし、【これ】に指を向ける。すると、目の前の女性は悲しげに、【これ】を見つめた。
「間に、合わなかった……? もう、貴方の中にいないの!?」
両肩を掴み、大粒の涙を流しながら女性は言う。
「どうっ、したら……。これじゃあまた、美咲ちゃんだけっ!」
「――――すみません」
それしか、言葉が思いつかなかった。
よく知らないけど、彼女はおそらく、【これ】のことを思って泣いていると思うから。
「私のこと――全くわからない?」
じっくり顔を見ても、彼女の記憶はない。首を横に振れば、彼女はまた、涙を流してしまった。
「――――こうなってしまったら、しょうがないわ。今、貴方が持ってる意思を聞かせてちょうだい」
――――意思?
それは、望みや願いのことを言っているのだろうか?
聞けば、彼女はそうだと言って頷く。
――【これ】の、意思。
考えを巡らせると、そこにあるのは、
「みんなを――護ること」
その一点。
強く。その言葉が刻まれていた。