久遠の花〜 the story of blood~

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 ゆらゆらと、体が浮いている。

 目を開ければ、どうやら水の中にいるらしく、初めて感覚を得た場所にいるのだとわかった。





 ――ここは、始まり。





 自分はいつも、ある時の為に用意されていた。

 知識が、流れるように入ってくる。





 原点は――模倣。





 本物を真似、それの代わりを担う。その時代の【自分】が消えると目覚め、死までを繋ぐ存在。





 ――だから、感情は付属されない。





 綻びを直したら、存在理由はなくなる。それが自分なんだと、深く、深く刻み込まれていった。


 *****


 シエロが休む部屋を、木葉は訪ねた。呼びかけると、中から桐谷の声が。


「すみませんが、これから治療をするので」


 退室願いますか? と言えば、桐谷は頷き、部屋をあとにした。


「初めまして。私は木葉といいます。これから、体内に残っている呪いの除去をさせていただきますね」


 丁寧に説明をすると、木葉は持参した札と、複数の人形を見せた。


「これらに、貴方の呪いを移します」

「でも、私のは凝縮されたものですし……。他の者では、呪いに侵食される可能性が」

「呪いは慣れていますし、蓮華様の処置も、私が行っていますから」


 だから心配御無用ですと、木葉は笑みを見せた。
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