久遠の花〜 the story of blood~
「へぇ~。レンは、貴方をそばに置いているんですね」
「いえいえ。私が勝手に、付き従っているだけですから」
話しながら、札に文字を書き、それを人形にはりつけていく。
そして、指を口元に近付け、なにやら唱え始めた。
「では――口を開け、天井を向いて下さい」
従うと、そのままでいるように言われる。
しばらくそうしていると――口から、黒い靄(もや)のようなものが溢れてきた。上に向かうそれが天井を埋め尽くした頃、木葉は靄に向かって人形を投げた。
すると、天井を埋め尽くしていた靄は、跡形も無く消えてしまった。見ると、人形が黒くなっている。どうやら、取り出すことは出来たらしい。
「これで、主なものは抜けたかと」
「ありがとうございます。――それで、レンの体は」
「今は大丈夫です。貴方も蓮華様も、ご自分よりも相手を重んじるのですね」
「ふふっ。大切な友達ですもの。
木葉さん……と言いましたよね? 貴方は、純粋な華鬼なんですか?」
「いえ。元は人――と言いますか、間の子(あいのこ)ではないかと」
木葉自身、自分の出生はわからないらしい。ただ、普通の人とは違う力が幼い頃からあり、よく鬼と罵られ、畏怖なる者として扱われていたのだと言う。