久遠の花〜 the story of blood~


「……本当に、よく知っているんだな」

「私がって言うより、使い魔がね。ちなみに、そいつが代々、王華の長の体を奪い生き続けてるってことも聞いたわ。ま、要は彼女には二重の呪いがあるってことみたいです」


 その言葉に、少女以外の面々は息をのんだ。


「二重って……そんなこと、聞いたことないぞ」

「だって、これは当時の彼女も知らないはずよ。生まれ変わる時に、前世の記憶なんて普通は持たないもの。うちの子が知ってるのは、彼女が呪いを受けた時代に使い魔になったからみたい。あ、話がそれちゃったわね。最初の呪いはわかりませんが、命華と言われる存在の前、彼女は既に傷を負っていた。だから力の無い人間として生き修復を待っていたのに、そいつが余計なことをしたもんだから、力が上手く制御できず、彼女の体は蝕まれていった。これにはそいつも予想外だったみたいですね。でも、その時にカルムが――えっと、貴方たちの先祖よね? 伝承にあるような異変に見舞われたわけだけど、運がいいことに、彼女の力がこれに上手く作用して、彼女自身も、力を発散させることで体の異変は穏やかになったみたいです。
 でも、彼女の異変が治まったのはいいけど、これじゃあ自分の求める存在には到底ならない。だから――更なる強行に出たんです」


 合ってるわよね? と、叶夜に同意を求める少女。頷くと、叶夜は深いため息をついた。


「具体的な行動は知らないが、そいつが〝何か〟をしたことは間違いない。おかげで、彼女に対する扱いも、周りの状況も随分変わった」

「とにかく、今の状況はかなりヤバいようですよ。なんせ、彼女はその命華の代わりでなく、れっきとした生まれ変わり。体も人間みたく柔じゃないから、原点も容易に受け入れてしまう。ここに彼女がいないってことは――もう、原点を受け入れたと思っていいでしょう。おそらく、ホントの意味で全てを終わらせる気ですよ、どちらもね」
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