久遠の花〜 the story of blood~
開 花 式 (前)
【開 花 式】(前)


 創造と破壊は表裏一体。

 新しいモノを創るには、それまであったモノを壊すことも必要だ。





 ――まずはカルム。

 お前たちには、血を糧に生きるようになってもらおう。それも、生き血でなければならないように。

 幾ら代わりを作ろうと無駄なこと。清らかなモノが穢れれば、そう簡単には戻ることはできないということを、身をもって感じるといい。





「――血を飲まずに生きる方法がある」





 囁けば、そいつは懇願した。





「体を――捧げろ」





 戸惑ったものの、そいつは意を決し、申し出を受け入れた。――だが、あまりいい器とは言えない。それならば創ればいいと、華鬼と王華の血で、次の器となる者を創った。華鬼の長は、箱を封じている。その血があれば今度こそ……。





 ――次は人間。

 互いを信じる心に、疑いを植えつけよう。それも、近しい者に特に現れるように。

 幾ら許しを乞おうと無駄なこと。違う力を持つと言うだけで、群れから外される孤独を味わうがいい。





 人間は、我以上に残酷な生き物だ。

 生きる為でなく、快楽の為に同法を殺す。特に、女の扱いが酷い。女とは子孫、次なる道を生み出し、更なる高みへと行ける存在だというのに。

 それを……人間どもは忘れてしまった。
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