久遠の花〜 the story of blood~
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深い森の中に、遥か昔に忘れ去られた古城がある。外観は古いが、中は未だに、手入れをされているかのような装い。奥へと進めば、そこには、ディオスの屋敷で見たような光景があった。
大広間の中央に浮かぶ黒球。それは、美咲が飛び込んだ箱が肥大した状態だった。
ニヤリ、怪しく口元を歪めるディオス。そこにはもう、レフィナドの痕跡は感じられない。
――黒球が、ゆっくりとその形状を崩し始める。
中から現れた女性。その者は、飛びこんだはずの美咲とは違う容姿をしていた。髪は輝く白銀をし、瞳は、左右違う色を宿している。
「あぁ……その瞳だ。求める存在の眼差し」
黒球から滴り落ちた液体が、女性の体にまとわりつく。それは次第に形を成し、ドレスに変化した。
「さぁ――次へ進もう」
「――――そうですね」
二人は、塔の上を目指す。
それぞれの思惑は違えど、女性は確実に、ディオスが望んだ存在に近付いていた。