久遠の花〜 the story of blood~





「さぁ――玉座へ」





 満点の星空が輝く最上階。その中心に置かれた椅子には豪華な装飾が施され、まさに、玉座と呼ぶに相応しい。





「あとは――月が満ちるのを待つのみ」





 私を座らせると、彼は跪き、左手に口付をした。





「記しは全て消す。だが――ここは、後の方が面白いだろうな」





 私の唇に触れ、彼は怪しい笑みを浮かべる。

 きっと……彼は、もっとも苦しい手段を取るんだ。

 いずれ、ここに皆が来る。あの子と私の絆は強いから、あの子が皆のそばにいるなら、ここに導いてくれるだろう。

 この姿であの子に会ったら……その時が、本当に終わる時だ。


 /////


 人の世に戻ったオレたちは、それぞれ別の場所にいた。

 ミヤビとエメさんとシエロさんは、桐谷さんの家で治療を。蓮華さんと木葉さんは、華鬼が避難している場所に。そしてオレは――日向さんの家に来ていた。


『叶夜……すまぬが、美咲の家に行き、葵に会ってきてほしい』


 こんな時に何故かと聞けば、大事なことだからと強く言われた。


『素直に行った方がいいんじゃない? 救った後に、おじいさんなんに何かありました、じゃ困るでしょ』

『叶夜さん、私からもお願いいたします』


 二人にも言われ、渋々ながらも行くことを承諾した。

 呼び鈴を鳴らせば、男性はすぐにドアを開けた。
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