久遠の花〜 the story of blood~

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 戻って来るなり、叶夜たちは異様な光景を目にした。

 淀んだ空気。

 漆黒に染まる空。

 木々や草は枯れ始め、嫌な臭いが漂っていた。

 特に、桐谷や使い魔にはキツいのか、鼻を覆い顔を歪めていた。


「やっぱりキツいか。――探せそう?」

「探せるが……」


 体が思うように動かないと、使い魔は苦い表情をした。


「なら、叶夜くんと契約しな」


 しれっと言ってのけるエフに、叶夜と使い魔は目を見開く。


「いくら貴方の指示でも……断る」

「オレもだ。第一、渡すだけの力も無い」

「そう怖い顔しなさんなって。
 ――君もさ、好き嫌いしてる場合じゃないって分かってるだろう?
 それから叶夜くん、力は無くても大丈夫。魔力は私が供給してるから、必要なのは、貴方の適応能力」


 首を傾げる叶夜に、エフは続ける。


「こーいった違う空間に適応するには、違う質の魔力が必要でね。普通は正式な契約者からもらえるものだけど、この子の場合はそれが出来ない。――だから、手っ取り早く他と契約するのが一番!」


 叶夜は話に納得したものの、使い魔は相変わらず、叶夜に対していい顔をしてはいない。


「今のままでも、何とかなる。――早く行きましょう」


 歩き始める使い魔。一度言い出したら聞かないようで、エフは呆れた表情をしていた。
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