久遠の花〜 the story of blood~





〝――――それを望むなら〟





 人間の信仰を受け、ソレは望む姿を取ります。

 破壊。呪い。疫病。強姦。殺人……。

 あらゆる悪行に、ソレの名が使われました。

 そして人間は、時に、同じ仲間にそれを行いしました。

 たった一人に全てをなすりつけ、その人間を、ソレの化身だと謳い殺したのです。

 それを見て、ソレは絶望しました。

 もう関わることはしないと決め、薄暗い森の奥へと姿を消したのです。


 *****


 ただ、話してみたかった。

 ただ、笑ってほしかった。

 ただ――…。





 自由に、なってほしかった。





 全知全能だとお前たちは言う。

 しかし、干渉出来る事には限りがある。

 全ての願いは叶えられない。

 全てのモノを救えない。

 叶えるには、相応の対価と運がいる。

 崇めるモノ――全てはその一存。一生願い続けようやく叶うものもあれば、願った瞬間叶うものもある。

 思いどおりにいかないからと、信じるモノを貶(おとし)めようなど。





 何故……大事なモノを奪う。

 何故……眠らせてくれない。





 これ以上――何を望む。



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