久遠の花〜 the story of blood~


「お前の世界は、なんとか浄化されたようだな」


 ミヤビたちが何をやっていたのかは知っている。長が土地の浄化をしたこと。そして、エメさんは影を封じたこと。おかげで、オレたちはあいつと美咲に集中することが出来た。


「残る問題は一つ」


 ため息をつく■■■。美咲を戻すのはいいが、そこまで連れて行き、安全に引き渡すことが問題だった。美咲だけで戻せないことはないが、王華や雑華の残党から狙われる可能性が無いとはいえない。おまけに、今の美咲には抵抗力がほぼ無い状態。体を奪われるという心配もある。出来ることなら、直接誰かに手渡す方が……。





「華鬼の里は――人の裏だったな?」





 頷けば、そこへ繋げようと■■■は言う。

 だが、あそこも今は危険な状態じゃあ……。

 探れば、そこに影はいないものの、多くの草木が枯れ、建物も壊れていた。


「ここならば、敵の存在は無い。花の場所であれば、他の者は近付かぬだろう?」


 見覚えのある場所。そこは、夜に美咲が倒れていた場所。他の植物は枯れているのに、そこだけ隔離されたような美しさを保っていた。

 確かにここなら安全だ。ここに来るとしたら、蓮華さんぐらいだろうからな。





「―――そろそろ、か」





 お互い、離れる時間が迫る。

 元々オレたちはカタチが無い。だから死ぬという感覚ではないが、こうして話しが出来なくなるというのは、少し淋しいものがある。


「我が先であれば、手元に置くからな」


 一番誰かに執着してはいけないモノがよく言う。

 悪いが、誰だろうと渡すつもりはない。





 オレの方が先に――彼女と出会ってみせる。



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