wild poker~ワイルドポーカー~
「……佐伯君」
そんな弱々しい声で名を呼ばれそっと後ろを振り返れば、霧島さんが泣き出しそうに顔を歪めて俺を見つめている。
「大丈夫。これでもう……大丈夫だから」
そう言ってそっと霧島さんに笑みを向けると、それから黒咲さんの元へと向かって行った。
夥しい血を流しピクリとも動かない彼女を暫く見つめ、それからそっと彼女へと向けて手を伸ばす。
まだ温かさを感じるその身体にそっと手を這わせ、そしてその手は彼女の服の中から《それ》を手にした。
そう……それは五枚のカード。
《クラブの2》と《ハートのJ、Q、K、A》の五枚のカード。
「霧島さんはこれと自分のカードを使うんだ。そうすればロイヤルストレートフラッシュが揃う。これで……元の世界に帰れる」
「……佐伯君は?」
「俺もジョーカーに貰ったカードがある。それで外に出られるから」
そう言って手にした黒咲さんのハートのカードを四枚、ゲームテーブルへと並べた。
「さ、早く。銃声を聞いてた他のプレイヤーがココに向かっているかもしれない。面倒臭い事になる前に……帰ろう」
その俺の言葉に霧島さんは暫く俺を見つめ、それからそっと手にしている一枚のカードを置いた。
それは《ハートの10》……霧島さんの《命のカード》
ゲームテーブルに五枚のカードが置かれると、《役をつくる》の文字が浮かび上がる。