wild poker~ワイルドポーカー~

「……これは」

そう小さく声を洩らし……目の前の《剣》を見つめた。

それは銀色に鈍く光る、まるでRPGに出て来るような一振りの剣。

「……プレゼント……か」

擦れた声で小さく呟き、そっとその剣に手を掛ける。

するとそれはあっさりと引き抜く事ができ、まるで俺の身体の一部の様に手に馴染んだ。

その次の瞬間、俺の目の前を何かが横切る。

……コウモリ。

そう心の中で呟き、それを目で追う。

そのコウモリはデフォルメされた姿ではなく、本物のコウモリの様に見える。

一羽のコウモリは俺の周りをクルクルと飛び回り、それから俺を誘う様に、屋敷へと向かって飛んで行く。

《……ついてこい》

そんなアイツの声が聞こえた気がした。

それに導かれる様に重たい剣を引き摺り、屋敷の扉へと向かって行く。

するとまるで俺を待ち侘びていたかの様に、ゆっくりと扉が左右に開かれた。
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