密会は婚約指輪を外したあとで
「私、叶多さんの後輩で。今年で23歳になります」
まるでお見合いのように自己紹介が進んでいく。
「23かあ、若いな」
一馬さんは目を細めて羨ましそうな表情をした。
──若い?
叶多さんの高校のときの同級生だと聞いていたから、私とは2つしか違わないはずなのに。
でも言われてみれば、一馬さんは叶多さんよりもずっと落ち着いていて、大人っぽい雰囲気だ。
「一馬さん、お仕事は何をされてるんですか?」
「銀行に勤めてる」
銀行員なんだ。彼のイメージにぴったりかも。
「銀行なら転勤があるんじゃないですか?」
「あるけど、市内の範囲で済むことが多いんだ。そんなに遠くまで引っ越すことはないから大丈夫」
一馬さんは、私を安心させるように柔らかく微笑む。