密会は婚約指輪を外したあとで
「明日、17時頃に家に来てくれるかな。その頃には、ハルが学校から帰ってるはずだから」
私の住むアパートの前に着いたとき、一馬さんから合鍵を渡された。
それを大切にポーチの中に仕舞い、一馬さんと別れた。
リビングの明かりを点けたら、ちょうどスマホの着信音が流れ始め、叶多さんの名前がディスプレイに表示されていた。
紹介してもらった一馬さんとのことだろうか。
「はい、もしもし?」
『深瀬……ごめん』
私がスマホを耳に当てると、聞こえてきたのは暗いトーンの謝罪だった。