密会は婚約指輪を外したあとで
……今まで一目惚れした人の中で、一番完璧かもしれない。
私の頬は湯たんぽではないのに、なぜこんなに火照っているのだろうか。
彼の隣にいるハニーブロンドの柔らかそうな髪の人も、英国の王子様みたいな雰囲気で素敵だけど。
私は黒髪の人の方が断然好みだった。
もう少しだけ見惚れたい──と視線を上げたとき、その男の人は私の存在を忘れた表情で体の向きを変え、その場を離れようとしていた。
──もう、行ってしまうの?
引き止める方法はないかとあれこれ考えていると、英国風王子様が黒髪の彼に話しかけた。
「拓馬、このあと約束あるんじゃなかった? まだ2次会まで時間あるよ」
失礼だと思いながらも、私はこっそりと聞き耳を立てる。