密会は婚約指輪を外したあとで
1階のロビーを抜けて、私はホテル内にあるビュッフェ式レストランへ入った。
叶多さんの名前で予約しているらしいので、ウェイターにそれを告げると奥の席へ案内してくれた。
空席の目立つ店内。
4人用のテーブルにはすでに一人、男の人がこちらに背を向けて座っていた。
がっしりした広めの肩幅だったから、叶多さんではないみたい。
「あの……初めまして」
恐る恐る話しかけると、
「あ、どうも初めまして」
さっと立ち上がり好青年風の爽やかな笑顔を見せてくれた男性に、私は安心して笑顔を返せた。