密会は婚約指輪を外したあとで
そこにはベージュのシフォンワンピースを着た平凡な女が、ぼんやりと映っている。


肩に下ろした暗めの髪は、ブローもせず伸ばしっぱなし。

メイクもおざなりで、マスカラとチークはいつも省いている。


なんの取り柄もない私は、普通に地味でおとなしいタイプの人と付き合うのが正しい選択だと思う。




今夜紹介してもらう人は、真面目な男性らしく。外見も私の理想にぴったりな人だというから、一週間前から楽しみにしていた。

前の会社で隣の部署の先輩だった西條叶多(かなた)さんが、彼氏がいなくて寂しそうな私にと、わざわざセッティングしてくれたのだ。
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